2012年5月10日木曜日

FXのリスク一覧

FX(外国為替証拠金取引)ではさまざまなリスクが伴います。リスクを最小限に抑えるにはリスク管理が必要です。

ここでは、FXのリスクとリスク管理の方法を一覧で紹介します。

▼ロスカットによるリスク
所有しているポジションの評価損が預託証拠金を上回った時は、FX業者は自動的にポジションの解消を行います。これをロスカットといいます。
■ロスカットのリスク管理
ロスカットにならないように預託証拠金を多めに入金することです。預託証拠金が減った場合には追加で入金するなどの措置を取ります。

▼為替レートによるリスク
FXでは、為替レートの変動によるリスクがあります。為替レートが上昇すると思って買ったものの、予想に反して下降することがあります。
■為替レートのリスク管理
所有しているポジションの評価損をあらかじめ設定しておいて、設定金額以上のマイナスになったら損切りします。トレールによる損失額の限定もリスク管理の1つです。

▼レバレッジによるリスク
FXでは、レバレッジをかけることによって預託証拠金以上の取引が可能になります。そのため、少額の預託証拠金で大きな利益を得られる反面、大きな損失を招く恐れがあります。
■レバレッジのリスク管理
レバレッジの倍率を低く設定することで、大きな損失を招く恐れが少なくなります。

▼スリッページによるリスク
スリッページとは、指値注文や逆指値注文が約定しないことです。スリッページは、為替レートが大きく変動している時や大きな取引があった時などに起きることが多いようです。
■スリッページのリスク管理
注文方法を指値注文から成行注文に変更すれば約定します。ただし、成行注文の場合には想定外の為替レートで約定する場合があります。

▼経済指標によるリスク
世界の各国の発表する経済指標、政策金利の変更は、為替レートに大きな影響を及ぼすことがあり、それによって大きな損失を招く恐れがあります。
■経済指標のリスク管理
経済指標の発表前には取引をしないことなどが挙げられます。

▼注文の誤りによるリスク
FXの注文時に「売り」と「買い」を間違えたり、通貨数を間違えたりする場合があります。FX業者は、注文の誤りを取り消すことはしませんので、誤ったまま約定されます。
■注文の誤りのリスク管理
実際の取引を始める前にデモ口座を開設して、取引の練習をしてから本取引をします。また、本取引では、注文内容をよく確認してから注文するようにします。

FXのロングポジションとショートポジションとは

FX(外国為替証拠金取引)におけるロングポジションとは、手元に買い持ち高のある状態のことをいいます。一方、ショートポジションとは、手元に売り持ち高のある状態のことをいいます。

▼ロングポジション
例えば、USD/JPYが今後値上がりすると予想した場合にはUSD/JPYを買うことになります。この買う行為を「USD/JPYをロングする」と表現します。そして、USD/JPYの買い持ち高がある状態を「USD/JPYのロングポジションを所有している」、あるいは、「USD/JPYの買いポジションを所有している」と表現します。

USD/JPYをロングする際の為替レートは、FX業者の提示する2つの為替レートのうち「買い」、または、「ASK」の価格になります。

■注文方法が「売り」、「買い」の取引画面

■注文方法が「BID」、「ASK」の取引画面

ロングポジションにおいては、為替レートが値上がりして決済をすれば利益が生じます。一方、為替レートが値下がりして決済をすれば損失が生じます。例えば、USD/JPYの場合、購入時の為替レートよりも円安の価格で決済をすれば利益、円高の価格で決済をすれば損失がそれぞれ生じます。

▼ショートポジション
また、USD/JPYが今後値下がりすると予想した場合にはUSD/JPYを売ることになります。この売る行為を「USD/JPYをショートする」と表現します。そして、USD/JPYの売り持ち高がある状態を「USD/JPYのショートポジションを所有している」、あるいは、「「USD/JPYの売りポジションを所有している」と表現します。

なお、「USD/JPYをショートする」場合、USD/JPYが手持ちになくても売ることができます。これは、株式取引でいうところの「信用カラ売り」にあたります。

USD/JPYをショートする際の為替レートは、FX業者の提示する2つの為替レートのうち「売り」、または、「BID」の価格になります。

ショートポジションにおいては、為替レートが値下がりして決済をすれば利益が生じます。一方、為替レートが値上がりして決済をすれば損失が生じます。例えば、USD/JPYの場合、購入時の為替レートよりも円高の価格で決済をすれば利益、円安の価格で決済をすれば損失がそれぞれ生じることになります。

FXのゴールデンクロスとデッドクロスの解説

ゴールデンクロスとデッドクロスは、2本の移動平均線が交差することで、FX(外国為替証拠金取引)や株式取引などでは相場の流れを知る手掛かりの1つとして用いられています。

移動平均線をチャート上に描画するには期間を設定する必要があります。一般的に、2本の移動平均線を用いる時は、長期間と短期間を用いることが多いようです。長期間の移動平均線は、相場の大きな流れをつかむために用いられ、短期間の移動平均線は、相場の細かな流れをつかむために用いられます。下の図では、黄色い線の期間を26、赤い線の期間を7に設定して移動平均線を描画しています。


▼ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは、2本の移動平均線のうち、短期間の線が長期間の線を下から上に突き抜けることです。上の図では、オレンジ色の丸く囲んだ部分になります。ゴールデンクロスになると相場は上昇する傾向にあります。

▼デッドクロス
デッドクロスとは、2本の移動平均線のうち、短期間の線が長期間の線を上から下に突き抜けることです。上の図では、青色の丸く囲んだ部分になります。デッドクロスになると相場は下降する傾向にあります。

なお、ゴールデンクロス、デッドクロスの地点は移動平均線の期間の設定によって変わります。

FXのトレールでリスク管理するには

FX(外国為替証拠金取引)のトレールは、ストップロス(逆指値)を設定した注文方法の1つです。トレールの特徴は、ストップロスの価格が自動的に変更される点です。これにより、最大損失額を限定することが可能になります。トレールは、リスク管理のための注文として知られています。

例えば、USD/JPYの買いポジションを79.500円で保有している時に、トレール幅を0.100に設定してトレール注文すると、79.400円になった時に決済が行われます。トレール幅は数字で指定し、その時の為替レートからトレール幅の分だけ下がるとその価格で決済されます。

しかし、USD/JPYが円安に進んで79.550円になると、79.550円から0.100円安い79.450円がストップロスの価格になります。その後、79.550円から79.480円へ円高に推移してもストップロスの価格は79.450円のままです。そして、このまま79.450円まで円高に推移すると決済が行われます。

トレールを利益確定のために使うこともできます。例えば、USD/JPYの売りポジションを80.500円で保有し、その後の時価が79.500円になったとします。この時点で100pipsの利益が出ていますが、この先も円高へ推移すると予想したら、トレール幅を0.500でトレール注文します。この注文により、もし円安に推移したとしても80.000円(79.500+0.500)で決済されるため、50pipsの利益を確定することができます。

そして、予想通りに円高へ推移すれば決済レートも円高の方へ変わるため、利益幅もその分、増加していきます。

▼トレール幅を0.100にした場合のストップロスの変化
為替レートストップロス
10月1日79.50079.400
10月2日79.51379.413
10月3日79.50779.413
10月4日79.48879.413
10月5日79.45579.413
10月6日79.47879.413
10月7日79.50879.413
10月8日79.51579.415
10月9日79.52579.425
10月10日79.60879.508
10月11日79.55379.508

▼トレールの注文画面

FXのブレイクアウトの見方

ブレイクアウト(break out)とは、為替レートが一定期間に一定の方向で推移していた状態から逸脱することです。

ブレイクアウトの典型的なパターンとしては、FXで為替レートが長期間、上がったり下がったりを繰り返してレンジ内に納まっている状態から、レンジ外へ値動きした場合が挙げられます。


FXのブレイクアウトの見方は、まず、レンジ内の上限と下限にそれぞれ線を引きます。上の図では赤い線になります。このうち、上限に引いた線をレジスタンスライン、下限に引いた線をサポートラインといいます。

上の図の黄色の丸で囲んだ部分では、為替レートがサポートラインを割り込んで下降しています。サポートラインを割り込むとこのまま下降トレンドになる傾向にあります。FXの売買のポイントとしては、この時点が「売り」のタイミングになるといわれています。

なお、「売り」のタイミングを計る手段の1つとして出来高が挙げられます。サポートラインを割り込んで下降した時の出来高が緑色の丸で囲んだ部分です。それまでの出来高が多いことがわかります。これは、売り圧力が強いことを表しています。もし、出来高が少なければ「だまし」といって、再びレンジ内に納まる可能性が高くなります。

レジスタンスラインを越えて上昇した場合にはそのまま上昇トレンドになる傾向にあり、その時点が「買い」のタイミングになるといわれています。

▼動画によるブレイクアウトの解説
・Phil Newton's Break out Strategy | Price Action Forex Trading


・How To Trade Breakouts


・Day Trading - Forex Breakout Strategy

FXのスプレッドとは

FX(外国為替証拠金取引)のスプレッド(spread)とは、FX業者の提示する売りの価格と買いの価格との差のことです。


上の図は、USD/JPYとNZD/JPYのレート表示画面です。

USD/JPYでは、BID(売りの価格)が79.753円、ASK(買いの価格)が79.758円になっています。スプレッドは、ASKからBIDを差し引いた(79.758-79.753)0.5銭(0.005円)になります。pipsで表現する場合には、0.5pipsになります。同様に、NZD/JPYのスプレッドは、1.8銭(0.018円)になり、pipsでは1.8pipsになります。

スプレッドの単位は、基軸通貨が円の場合には銭やpipsを用います。基軸通貨が米ドルや英ポンドなど、円以外の場合にはスプレッドの単位をpipsとする場合が多いようです。


上の図は、EUR/USDとEUR/GBPのレート表示画面です。

EUR/USDのスプレッドの計算式は、「1.29728-1.29721=0.00007」で0.7pipsになります。また、EUR/GBPのスプレッドの計算式は、「0.80393-0.80379=0.00014」で1.4pipsになります。

FX業者の提示するスプレッドは、原則として変更されることはありません。ただし、次のような時にはスプレッドが変更されることがあります。
  • FX業者の定期的なスプレッドの見直しが行われた時。この時には、スプレッドが大きくなったり小さくなったりします。
  • FX業者のスプレッドのキャンペーンが行われた時。この時には、スプレッドが小さくなります。
  • ボラティリティが高くなった時。大きな経済指標の発表後などに為替レートが大きく動いた時には、スプレッドが大きくなります。

FXのアノマリー一覧

FXのアノマリー(anomaly)とは、FX(外国為替証拠金取引)において、ファンダメンタルズやテクニカルでは理論的な裏付けのできない事象のことです。

以下は、FXにおいてアノマリーといわれる事象の一覧です。
  • 五十日(ゴトー日)の8時頃から10時頃(9時55分)にかけて円安ドル高になる。
  • 満月の日には取引高が多くなり相場が大きく動く。
  • 満月の日にはドル高になる。
  • アメリカ合衆国の大統領選挙のある年と翌年はドル高になる。
  • アメリカ合衆国の大統領中間選挙のある年はドル安になる。
  • 欧米諸国の中間決算期にあたる6月は相場が大きく動く。
  • 欧米諸国の決算期にあたる11月は相場が大きく動く。
  • 新年の1月の高値、安値がその年の高値、安値になる。
  • 1月の月足が円高だとその年の年足も円高になり、1月の月足が円安だとその年の年足も円安になる。
  • 年初は円高になる。
  • 株式相場の「節分天井彼岸底」に連動して円相場のトレンドが転換する。
  • 3月は日本企業のレパトリエーション(レパトリ)によって円高になる。
  • 新年度の4月の高値、安値がその年の高値、安値になる。
  • ゴールデンウィークは円高になる。
  • 7月はドル高になる。
  • 盆の前後は円高になる。
  • 12月はユーロ通貨が買われる。
  • 年末はドル高になる。
  • 週初めの月曜日の高値、安値がその週の高値、安値になる。
  • 水曜日はポンド高になる。
  • 木曜日はドル安になる。
  • 週末の金曜日はドル高になる。

FXのpipsの計算方法は

FX(外国為替証拠金取引)のpips(ピップス)とは、為替レートの値動きの最小単位のことです。為替レートは、pips単位で変動し、FX業者では、pipsごとに刻んだ数字を為替レートとして表示します。

pipsは、通貨ペアを売買した際の損益の値幅やスプレッドを表現する時に用いられます。

例えば、USD/JPYを81.38円でロング(買い)で所有していて、時価が81.59円ならば、「21pipsのプラス」のように表現します。また、時価が81.35円ならば、「3pipsのマイナス」のように表現します。

2012年5月現在、多くのFX業者では為替レートの表示桁数を81.385円のように小数点第3位まで表示しています。FX業者では、pipsを小数点第3位とする場合と、小数点第2位とする場合の2つに分かれていますが、一般的には小数点第2位を1pipsとすることが多いようです。よって、USD/JPYを81.385円でロング(買い)で所有していて、時価が81.59円ならば、「20.5pipsのプラス」のように表現します。

FX業者の示すスプレッドについても、Bidが81.385円でAskが81.390円であれば、「スプレッドは0.5pips」と表現する場合が多いようです。

pipsは、為替レートの値動きの最小単位を表すものですが、0.5pipsのように小数点以下の数も存在します。

なお、円を基軸通貨とするUSD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPYなどの通貨ペアの場合、1pipsは0.01円になります。また、米ドルを基軸通貨とするEUR/USD、GBP/USDなどの通貨ペアの場合、1pipsは、0.0001ドルになります。

FXのレバレッジの計算方法は


FX(外国為替証拠金取引)において、通貨ペアの売買の際に必要になるのが証拠金です。レバレッジは、証拠金と、通貨ペアの価格、通貨数により計算することができます。

FXのレバレッジの計算方法は、次のような式になります。

レバレッジ=通貨ペアの価格×通貨数÷証拠金

例えば、USD/JPYを79.50円で1万通貨購入した時の証拠金が26万5,000円だった場合のレバレッジは、

79.50×10000÷265000=3

になり、3倍ということがわかります。

EUR/JPYを102.30円で2万通貨購入した時の証拠金が8万1,840円の場合のレバレッジは、

102.30×20000÷81840=25

になり、25倍です。

通貨ペアの売買の際にレバレッジが指定できる場合には、予算に合わせてレバレッジを変更することができます。

例えば、次のルールでレバレッジの設定方法を考えてみます。
  • 預託証拠金として100万円を預け入れる。
  • ロスカットを避けるために預託証拠金額の30%を損失分に充当し、証拠金として使用しない。
  • 損失分充当額を除いて一度に注文する。
  • 購入時は必ずUSD/JPYとその他の通貨の2通貨をセットで買う。
  • 購入時のUSD/JPYの通貨数は、その他の通貨の通貨数の2倍にする。

なお、レバレッジは1倍から25倍までの5の倍数ごとに指定でき、通貨数は1万通貨単位とします。
預託証拠金が100万円なので、証拠金として使用できる金額は70万円までになります。
USD/JPYが78.30円、GBP/JPYが126.70円で、GBP/JPYの購入する通貨数を「a」、レバレッジを「b」とした場合、次のような式になります。

(78.30×a×2+126.70×a)÷b≦700000

283.3a÷b≦700000

a≦2470b

このことから、考えられるレバレッジと各通貨の購入可能通貨数は次のようになります。

・1倍の時・・・購入できない
・5倍の時・・・USD/JPY 2万通貨、GBP/JPY 1万通貨
・10倍の時・・・USD/JPY 4万通貨、GBP/JPY 2万通貨
・15倍の時・・・USD/JPY 6万通貨、GBP/JPY 3万通貨
・20倍の時・・・USD/JPY 8万通貨、GBP/JPY 4万通貨
・25倍の時・・・USD/JPY 10万通貨、GBP/JPY 5万通貨

FXのダブルトップでのエントリーポイントを見つけるには

ダブルトップとは、チャートが「W」の字を上下反転したように形成されていることです。ダブルトップが形成されると、2つのエントリーポイントが発生します。

下の図は、ダブルトップを形成したチャートです。


ダブルトップが形成されそうな状況になったら「W」の字の上下反転に相当するチャートの上下に水平線を引きます。上の図では、黄色で丸く囲んだ部分がそれぞれAとBの線上になるようにします。次に、AからBまでと同じ高さの水平線をBの下方に引きます。上の図ではCになります。

エントリーポイントは、青い色で丸く囲んだ2か所です。

まず、ローソク足がBの水平線を上から下に突き抜けた時が売りのエントリーポイントになります(左側の青い色で丸く囲んだ部分)。この時点でダブルトップの形成が完了します。

ダブルトップが形成されると為替レートは下降することが多く、目標値はCの水平線になります。ちょうどローソク足がCの水平線を上から下へと突き抜けた時、買いのエントリーポイントになります。