2012年9月13日木曜日

株365のセーフティネットとは

株365の取引の際には、証券会社に証拠金を預託します。

証券会社は、顧客から預託された証拠金を株365の取引所である東京金融取引所へ預託します。その際、顧客の売り、買いといった注文内容は関係なく、証拠金すべてが預託されます。

そして、東京金融取引所はこの預託金を信託銀行や銀行などへ保管します。ちなみに、東京金融取引所の財産とは分別して保管されます。

このようなセーフティネットの仕組みにより、顧客の証拠金が全額保全されることになります。


上の図は、顧客の証拠金の流れを示したものです。証拠金を信託銀行や銀行へ保管するのは東京金融取引所で、証券会社ではありません。つまり、証券会社では顧客の差し出した証拠金は自社で管理、保管することはできません。これによって万一、証券会社が破綻しても証拠金は保全されるため、建玉が強制的に決済されたりするようなことはありません。


上の図は、CFDにおける顧客の証拠金の流れを示したものです。CFDとの違いは、顧客の証拠金を東京金融取引所かCFD業者である点です。

株365を取り扱うには、東京金融取引所の定める要件を満たす必要があります。主な要件には、金融商品取引法の定める取引業者であることや東京金融取引所の資格基準をクリアしていることなどが挙げられます。また、日本投資者保護基金への加入も要件の1つになっています。証券会社が破綻した場合、日本投資者保護基金から顧客1人につき最高1,000万円の補償が行われます。ここでも顧客の資金への保全対策が講じられています。

株365の円建て取引のメリットは

株365では、日経225証拠金取引はもとより、DAX証拠金取引、FTSE100証拠金取引、FTSE中国25証拠金取引も円建てで取引が行われます。

FXやCFDでは、一般的に外貨建ての銘柄の取引を行う場合には、外貨に換算してから行われます。

例えば、FXのEUR/USDを買い建てする場合、証拠金は次のように計算します。なお、EUR/USDの価格を1.28917ドル、USD/JPYの価格を77.926円として、レバレッジ25倍で1ロット(1万通貨)買い建てするとします。

証拠金=1.28917ドル×10000通貨×77.926円÷25=40183円(端数切捨て)

次に、EUR/USDが1.29917ドルに値上がりした場合の損益を計算してみます。なお、USD/JPYの価格は買い建てした時と同じ価格とします。

損益=(1.29917ドル×10000通貨×77.926円÷25)-40183円
=40495円-40183円=312円

損益はプラス312円になりました。

それでは、上の決済時においてUSD/JPYの価格が77.000円だった場合には損益はどのように変化するでしょうか。

損益=(1.29917ドル×10000通貨×77.000円÷25)-40183円
=40014円-40183円=-169円

損益はマイナス169円になりました。

このように、外貨建てでの取引の場合には、取引する銘柄(通貨ペア)に加えて、外貨の為替レートを計算しなければなりません。

株365では、DAX証拠金取引、FTSE100証拠金取引、FTSE中国25証拠金取引といった海外の株式指数を円通貨で取引できるため、上記のような為替レートの計算をする必要がないといったメリットが挙げられます。

株365のヒストリカルデータの分析

株365で取引される銘柄は、日経225証拠金取引、DAX証拠金取引、FTSE100証拠金取引、FTSE中国25証拠金取引の4銘柄です。

この4銘柄について、取引開始(2010年11月、FTSE中国25証拠金取引は2010年12月)から2012年8月までの間のボラティリティや変動幅、変動幅分布などを紹介します。

▼日経225証拠金取引
ボラティリティ
20.27%
最大変動幅
640円。建玉1枚で64,000円の評価損益が発生します。
平均変動幅
89.79円。1日あたり建玉1枚で8,979円の評価損益が発生します。
変動幅分布
1日あたりの変動幅は50円未満が最も多く、続いて50円から99円の範囲になっています。
価格推移

▼DAX証拠金取引
ボラティリティ
27.21%。4銘柄のうち最も高い数値です。
最大変動幅
566ポイント。建玉1枚で56,600円の評価損益が発生します。
平均変動幅
76.97ポイント。1日あたり建玉1枚で7,697円の評価損益が発生します。
変動幅分布
1日あたりの変動幅は50ポイント未満が最も多く、続いて50ポイントから99ポイントの範囲になっています。
価格推移

▼FTSE100証拠金取引
ボラティリティ
21.34%
最大変動幅
404ポイント。建玉1枚で40,400円の評価損益が発生します。
平均変動幅
54.65ポイント。1日あたり建玉1枚で5,465円の評価損益が発生します。
変動幅分布
1日あたりの変動幅は50ポイント未満が最も多く、続いて50ポイントから99ポイントの範囲になっています。この2つで全体の85%以上を占めています。
価格推移

▼FTSE中国25証拠金取引
ボラティリティ
26.84%
最大変動幅
1173ポイント。4銘柄のうち最も高い数値です。建玉1枚で117,300円の評価損益が発生します。
平均変動幅
211.17ポイント。4銘柄のうち最も高い数値です。1日あたり建玉1枚で21,117円の評価損益が発生します。
変動幅分布
1日あたりの変動幅は200ポイントから499ポイントの範囲が最も多く、続いて100ポイントから199ポイントの範囲になっています。この2つで全体の60%以上を占めています。
価格推移

株365や株式投資で必ず儲かる話は本当か

株365や株式投資、FX、CFDなどで必ず儲かるという謳い文句で投資を勧誘する手口が後を絶ちません。

勧誘の手口には次のようなものが挙げられます。
  • 「絶対儲かる。借金してでも投資する価値がある。」と絶対儲かることを強調する。
  • 「1か月で資金が10倍」、「1か月ごとに10%の配当」と高い配当であることを強調する。
  • 銀行などの金利が低いことと比較して高利子であることを強調する。
  • 元本保証なので絶対損をしないと強調する。
  • 年金はもらえないと嘘をついて不安を煽る。
  • 1回取引した人に対して、「今度は確実に儲かる」と新しい商品の購入を強要する。
  • 「俳優の○○さんもやってますよ」と有名人の名前を出して商品の安全性を強調する。
  • 偽造した過去の取引例を見せて、いかに儲かったかを強調する。

このような勧誘に引っかからないために、「絶対儲かる」、「高配当」、「元本保証」といった話には乗らないようにします。また、Webサイトのデザインやパンフレットの見栄えに惑わされないようにします。そして、過去の取引例は信用しないようにします。ちなみに、過去の取引例が仮に事実だとしても、将来の利益が保証されているわけではありません。警視庁によれば、特に投資に不慣れな高齢者が狙われることが多いようです。

なお、顧客に対して株365や株式投資、FX、CFDなどで「○○を△△△円で買ってください」というような指示をする行為は、金融庁の定める投資顧問業、投資助言・代理業の登録者に限って許されています。投資自動売買プログラムの販売も投資顧問業、投資助言業の登録者に限られます。登録を行わずに販売すると金融商品取引法に抵触し、販売者は罰則の対象になります。登録者の情報は金融庁が金融商品取引業者登録一覧として発表しています。

株365の日経225証拠金取引の見方

株365の日経225証拠金取引は、日経平均株価(日経225)に連動して値動きする銘柄です。そのため、日経平均株価の値動きや構成銘柄の特徴を知ることで日経225証拠金取引の値動きを予測できます。

日経平均株価は、東京証券取引所(東証)の第1部に上場している銘柄から、流動性の高い225銘柄を選定してそれらの平均株価を算出したものです。

2012年9月現在、日経平均株価に採用されている銘柄には、ソニー、日立製作所、新日本製鐵、武田薬品、富士フイルム、資生堂、味の素、花王、ブリジストン、トヨタ自動車、ニコン、伊藤忠、ファーストリテイリングなど日本を代表する企業により構成されています。

225銘柄のうちの1割以上は電気機器の企業で占めています。これらの企業の収益は海外への輸出に依存する割合が高いため、外国為替の影響を受けます。例えば、1万ドルの商品を輸出した場合、USD/JPYが80円ならば80万円の売上になります。しかし、USD/JPYが円高で77円になると売上は77万円で3万円の減額になります。逆に、USD/JPYが円安で85円になると売上は85万円で5万円の増額になります。

そのため、円高になると企業の収益は下がると予想され株価が下がります。その結果、日経平均株価も下がります。一方、円安になると企業の収益は上がると予想され株価が上がります。その結果、日経平均株価も上がります。

下の図は、USD/JPYの推移を週足ベースでチャート表示したものです。円高のトレンドが続いていることがわかります。また、その下の日経平均株価のチャートと見比べてみると、同じような値動きで推移していることがわかります。


このような傾向になるのは、日経平均株価の採用銘柄に電気機器や自動車、精密機器といった輸出依存度の高い銘柄が多いことが原因です。もし、輸入依存度の高い、いわゆる内需関連銘柄が多ければ、日経平均株価は異なる値動きをするでしょう。輸入依存度の高い企業では、1万ドルの商品を輸入した場合、USD/JPYが80円ならば80万円の費用がかかります。しかし、USD/JPYが円安で85円になると費用は85万円で5万円の増額になります。逆に、USD/JPYが円高で77円になると費用は77万円で3万円の減額になります。

次に、日経平均株価はニューヨーク市場の影響を受けやすく、S&P500やNasdaq100といった株価指数に連動することも多いようです。日経平均株価に関するニュースを見ても、「前日のニューヨーク市場の影響を受けて日経平均株価は・・・」といったフレーズをよく見かけます。しかし、チャートを見るとニューヨーク市場との連動性はあまり高くないように見えます。

下の図は、日経平均株価、S&P500、Nasdaq100の推移を週足ベースでチャート表示したものです。


次に、日本銀行(日銀)の1%ルールに着目します。1%ルールは、TOPIXが前場に1%以上下落するとETFなどを日本銀行が買い入れることです。日銀の買い入れによりETFの価格が上昇し、その影響により日経平均株価の上昇が期待できます。

以上のことから、株365の日経225証拠金取引の見方としては、為替の動きやニューヨーク市場の動き、TOPIXの動きなどに注目するとよいでしょう。

株365のDAX証拠金取引の見方

DAX証拠金取引は、DAX指数に連動して値動きする銘柄です。そのため、DAX指数の値動きや構成銘柄の特徴を知ることでDAX証拠金取引の値動きを予測できます。

DAX証拠金取引は、ドイツのフランクフルト証券取引所に上場している銘柄から、優良な30銘柄を選定してそれらの平均株価を算出したものです。

2012年9月現在、DAX指数に採用されている銘柄には、BMW、フォルクスワーゲン、ドイツ銀行、アディダス、シーメンス、バイエルなど日本でもよく知られている企業により構成されています。

DAX指数の構成銘柄は輸出に依存する企業が多いため、収益は外国為替の影響を受けます。ドイツの通貨はユーロです。ユーロ安になれば企業の収益は増え、企業の株価は上昇します。そして、DAX指数も上昇します。一方、ユーロ高になれば企業の収益は減り、企業の株価は下降します。そして、DAX指数も下降します。

ドイツの輸出先は、フランスやオランダ、イタリアなどのEU各国をはじめ、アメリカ合衆国やイギリス、ロシア、中国などの国々です。これらの国々のドイツ製品の消費が増えればドイツ企業の業績が良化し株価は上昇します。逆に消費が減れば業績は悪化し株価は下降します。

2012年9月現在、DAX証拠金取引の取引で注意したいことは、2009年後半のギリシャの財政問題(粉飾発覚)を発端としたユーロ危機です。ギリシャ問題はその後、イタリアやアイルランド、ポルトガル、スペインを巻き込みました。この間、ユーロ通貨は下落を続けています。


上の図は、DAX指数とEUR/JPYの値動きをチャートに表したものです。赤色の四角で囲んだ部分はユーロ危機以降の推移です。DAX指数を見ると、一時的に下落したものの右肩上がりで推移していることがわかります。これは、ユーロ危機の中にあってもドイツ経済の強さを表しています。一方、EUR/JPYは円買い、ユーロ売りが続いています。

2012年9月現在、ドイツ経済は安定していますが、ユーロ危機やユーロ通貨、輸出相手国の情勢(特に中国)などのリスクを抱えていることを考慮する必要があります。