2012年6月24日日曜日

株式分析のヒストリカル・ボラティリティとは

株式分析のヒストリカル・ボラティリティ(Historical Volatility)とは、過去の株価のデータから、将来の株価の変動率を求めるテクニカル指標のことです。ヒストリカル・ボラティリティは、HV、あるいは、歴史的変動率とも呼ばれています。

ヒストリカル・ボラティリティの計算方法は、当日の株価と1日前の株価の変動率、1日前の株価と2日前の株価の変動率、・・・、n日前の株価とn+1日前の株価の変動率を求め、変動率の標準偏差を求めます。次に、標準偏差に250の平方根を乗じたものがヒストリカル・ボラティリティになります。250という数字は、1年間の立会の日数になります。

例えば、当日のヒストリカル・ボラティリティの値が10%の場合、次のような予想が成り立ちます。

(1)将来1年間の終値の68.27%は、当日の株価の±10%以内に納まる。

(2)今日から1年後の株価は、68.27%の確率で当日の株価の±10%以内に納まる。



ヒストリカル・ボラティリティは将来の株価の変動率を求めるもので、売買のエントリーポイントを示す数値はありません。しかし、ヒストリカル・ボラティリティを株価のチャートと併せて描画すると、売買のエントリーポイントを見つけ出すことができます。

上の図は、チャート画面にヒストリカル・ボラティリティを描画したものです。

赤色の四角で囲んだ部分は、ヒストリカル・ボラティリティが15%前後で推移しています。ヒストリカル・ボラティリティの高低は銘柄により異なりますが、上の図で表示した銘柄の場合、15%は低いほうになります。

ヒストリカル・ボラティリティが低い水準で推移している間は、株価は横ばいで推移します。

しかし、ヒストリカル・ボラティリティが上昇すると、株価は大きく下降しています。青色の四角で囲んだ部分です。上の図では、ヒストリカル・ボラティリティの値が大きくなった時が売りのエントリーポイントになります。

なお、ヒストリカル・ボラティリティの値が大きくなると、株価は上昇するか、下降するかのいずれかになります。

このように、ヒストリカル・ボラティリティが低い水準で推移している時が、株価の上昇前、あるいは、下降前の仕込み時になります。

株式の投資基準とされるROEとは

株式の投資基準とされるROEとは、株主資本の当期純利益の割合をパーセンテージで表したものです。

ROEは、Return on Equityの略で、株主資本利益率といいます。

ROEは次の計算式で求めることができます。

ROE=当期純利益÷株主資本×100

ROEでは、利益を上げるために株主から出資された資金がどれだけ有効的に使われているかを調べることができます。

ROEの数値が高ければ株主資本を有効的に使った経営効率のよい企業であることがわかります。そしてそれは、企業の業績にもつながります。

上場企業のROEの数値は1%から3%程度が一般的で、10%以上であれば経営効率のよい企業といえます。

次の表は、2012年6月現在の日経平均株価(日経225)採用銘柄のROEの10%以上の銘柄の一覧です。

コード銘柄ROE
1963日揮14.33%
3407旭化成11.21%
3865北越紀州11.77%
4151協和キリン20.32%
4502武田26.93%
4507塩野義10.74%
4704トレンド22.47%
5201旭硝子10.16%
5233太平洋セメ11.65%
5713住友鉱11.09%
6301コマツ16.75%
6501日立23.64%
6954ファナック16.79%
7202いすゞ25.01%
7211三菱自16.38%
8001伊藤忠22.17%
8031三井物18.39%
8035東エレク10.65%
8058三菱商16.75%
8308りそなHD15.56%
9022JR東海10.01%
9433KDDI12.03%
9983ファーストリテイ20.17%

なお、ROEの算出に使う当期純利益は、固定資産処分益などの特別利益の勘定も含まれます。そのため、土地を処分した場合には当期純利益が増加し、ROEも増加します。このようなケースでは、算出されたROEでの投資判断は慎重に行ってください。また、株主資本が少なく負債の多い企業の場合でもROEが大きくなります。このケースでも算出されたROEでの投資判断は慎重に行ってください。

株式分析を出来高で行うには

相場の格言に、「最初の大商いには黙ってつけ」、「人気の出始めは人気に従え」といったものがあります。株価が急に上がったり、急に下がったりしたら必ず何らかの理由があるから、何はともあれ相場に乗っておくとよいという意味です。

この格言での売買のエントリーポイントは、株価が急騰したら「買い」、株価が急落したら「売り」になります。そして、株価の急騰、急落は、出来高を伴います。

ここでは、株式分析を出来高で行う方法を紹介します。

下の図は、週足のチャート画面に出来高を描画したものです。実際に株価の急騰時、急落時に出来高を伴っているか検証してみます。



株価が急騰している局面では、出来高が通常よりも増えていることがわかります。赤色の丸で囲んだ部分になります。この地点が上昇トレンドの始まりであり、買いのエントリーポイントになります。

また、株価が急落している局面でも、出来高が通常よりも増えていることがわかります。青色の丸で囲んだ部分になります。この地点が下降トレンドの始まりであり、売りのエントリーポイントになります。

次の図は、日足のチャート画面に出来高を描画したものです。



これも、株価が急騰している局面では、出来高が通常よりも増えていることがわかります。赤色の丸で囲んだ部分になります。

次の図も、日足のチャート画面に出来高を描画したものです。銘柄の悪材料が新聞で報道されたため、出来高を伴って株価が急落しています。青色の丸で囲んだ部分になります。この地点が下降トレンドの始まりであり、売りのエントリーポイントになります。

株式取引とFXとの違い

個人投資家が資金面や手続き面など比較的手軽に投資できるものとして株式取引とFXが挙げられます。

ここでは、2012年6月現在の株式取引とFXとの違いについて紹介します。

▼取引先

取引先は、株式取引は証券会社、FXはFX業者になります。取引を行うには、証券会社、FX業者の口座開設が必要になります。なお、GMOクリック証券や楽天証券などでは、1回の口座開設手続きで株式取引とFXの両方の取引ができます。

▼取引相手

株式取引において株式を買う時は、株式を売る人が取引相手になります。また、株式を売る時は、株式を買う人が取引相手になります。証券会社は、株式市場に対して取引相手を探します。取引相手が見つかなければ株式を売ったり買ったりすることはできません。一方FXでは、相対取引といって、外国為替市場を介さずに売買の当事者同士で売買を行います。つまり、FXでの取引相手はFX業者になります。

▼手数料

株式取引の際には手数料がかかります。インターネットを介して株式取引を行う場合には手数料は数百円程度ですが、店頭や電話で株式取引を行う場合には手数料は数千円かかります。一方、FXではほとんどの場合、手数料は無料です。

▼取扱い数

株式取引では、証券取引所に上場している約4000銘柄の取引が可能です。一方、FXではFX業者の扱う通貨ペア数により異なりますが、多くても150通貨ペアしかありません。

▼取引時間

株式取引では、9時から15時までの間が取引時間になっています。一方、FXではほぼ24時間の取引が可能です。

▼休場日

株式取引では、土曜日、日曜日、祝日が休場になります。一方、FXでは土曜日、日曜日が休場になります。祝日は取引が可能です。

▼取引単位

株式取引での取引単位は通常は100株、あるいは、1000株単位であることが多いです。一方、FXでの取引単位は通常は1万通貨であることが多いです。

▼最低取引金額

株式取引の場合は、1株300円の株式を100株購入すれば3万円が必要金額になります。一方、FXの場合は、1米ドル80円のUSD/JPYを1万通貨購入すれば80万円が必要金額になります。ただし、FXではレバレッジを使うことにより、最大4%の金額で購入できます。80万円の4%は3万2000円になりますので、3万2000円で1万通貨の購入ができます。

▼利息

株式取引では、信用銘柄の株式を保有している場合、逆日歩といって利息を受け取れることがあります。逆に、信用取引により「売り」建玉があると利息を支払わなければならないことがあります。一方、FXではスワップポイントといって「売り」、「買い」において通貨ペアの組み合わせによる金利差分の利息の受け取り、あるいは、支払いが生じます。FXでは、売買差損が発生してもスワップポイントで損失分をカバーできることがあります。

▼スプレッド

スプレッドは、売りの価格と買いの価格との差のことです。株式取引では、スプレッドはありません。一方、FXではスプレッドがあります。通常は、売りの価格は買いの価格よりも低い価格に設定されます。つまり、USD/JPYの価格は「売り 80.50円、買い80.52円」のように表示されます。これは、80.52円で買った時点ですぐに売ると80.50円で売れるということで、買った時点で0.02円分の損失が発生していることになります。なお、スプレッドはFX業者により異なります。また、相場環境によりスプレッドの幅が大きくなることもあります。

株式の成行注文と指値注文の使い分け方

株式の注文方法はさまざまな種類があります。その中でも、成行注文と指値注文はよく使われる注文方法です。この2つの注文方法をうまく使い分けることによって、効率の良い株式投資ができます。

ここでは、株式の成行注文と指値注文の使い分け方について解説します。

▼成行注文

株式の成行注文とは、銘柄と株数を指定して注文を出すことです。株価に関係なく、とにかく買いたい、とにかく売りたい時の注文方法です。

例えば株価が500円の時、495円や490円の指値注文が先に出ていても、成行注文すればそれらの指値注文よりも先に約定することができます。

成行注文は、「今、買っておかなければ、チャンスを逃す」、「今、売っておかなければチャンスを逃す」といった局面でよく使われる注文方法です。例えば、その銘柄の決算内容が大幅に上方修正された場合や、企業の吸収合併した場合に株価の上昇が期待される時に指値注文をしていては、成行注文をした人に先を越されてしまう可能性があります。同じように、その銘柄に悪い材料が出たらすぐに成行注文することで損失を免れることもできます。

成行注文は、すぐに約定できるというメリットがある半面、デメリットもあります。それは、株価がいくらで約定するのかがわからないということです。好材料が出たので成行注文をしたら、ストップ高の株価で約定してしまった、というケースも少なくありません。ストップ高で購入後にさらに値上がりすればよいのですが、ストップ高の後に反落するケースも少なくなく、成行注文はリスクが付き物の注文方法でもあります。

▼指値注文

株式の指値注文とは、銘柄と株数、株価を指定して注文を出すことです。成行注文とは異なり、株価を指定して注文を出すので自分の希望する株価で購入できるというメリットがあります。

例えば株価が500円の時、450円で1000株の指値注文をすることができます。500円は高いけれど、450円なら割安だから買っておこうという場合に指値注文が役に立ちます。

しかし、指値注文は、指定した株価にならないと約定しないというデメリットがあります。

例えば、大商いで株価が乱高下している時に指値注文を出しても約定することはほとんどありません。また、株価が一方通行で推移している時に、少し安いところで買い注文を出しても約定しません。

指値注文では、買い逃しや売り逃しをすることがよくあります。

成行注文と指値注文は、相場の状況をよく見て使い分けるとよいでしょう。

株式の取引が行われる証券取引所の一覧

2012年6月現在の日本の証券取引所、および、世界各国の証券取引所の一覧です。

▼日本
▼アジア
バングラデシュ
ダッカ証券取引所
チッタゴン証券取引所
中華人民共和国
上海証券取引所
深セン証券取引所
上海期货交易所
香港
香港証券取引所
インド
ボンベイ証券取引所
インド・ナショナル証券取引所
インドネシア
インドネシア証券取引所
カザフスタン
カザフスタン証券取引所
キルギス
キルギス証券取引所
韓国
韓国取引所
台湾
台湾証券取引所
モンゴル
モンゴル証券取引所
マレーシア
ブルサ・マレーシア
ミャンマー
ミャンマー証券取引所
パプアニューギニア
ポートモレスビー証券取引所
フィリピン
フィリピン証券取引所
シンガポール
シンガポール取引所
タイ
タイ証券取引所
ベトナム
ホーチミン証券取引所
ハノイ証券取引所
ウズベキスタン
タシュケント証券取引所
ブータン
ブータン証券取引所
モルディブ
モルディブ証券取引所
ネパール
ネパール証券取引所
パキスタン
イスラマバード証券取引所
スリランカ
コロンボ証券取引所
▼オセアニア
オーストラリア
オーストラリア証券取引所
オーストラリア・ナショナル証券取引所
ニュージーランド
ニュージーランド取引所
フィジー諸島
南太平洋証券取引所
パプアニューギニア
ポートモレスビー証券取引所
▼アメリカ大陸
アメリカ合衆国
NYSEユーロネクスト
NASDAQ OMX
カナダ
トロント証券取引所
メキシコ
メキシコ証券取引所
エルサルバドル
エルサルバドル証券取引所
コスタリカ
コスタリカ国立証券取引所
グアテマラ
グアテマラ国立証券取引所
ホンジュラス
ホンジュラス証券取引所
ジャマイカ
ジャマイカ証券取引所
ニカラグア
ニカラグア証券取引所
パナマ
パナマ証券取引所
バハマ国際証券取引所
バルバドス
バルバドス証券取引所
バミューダ諸島
バミューダ証券取引所
ケイマン諸島
ケイマン諸島証券取引所
ドミニカ
ドミニカ共和国証券取引所
ハイチ
ハイチ証券取引所
トリニダード・トバゴ
トリニダード・トバゴ証券取引所
アルゼンチン
ブエノスアイレス証券取引所
ボリビア
ボリビア証券取引所
ブラジル
BM&F ボベスパ
チリ
サンティアゴ証券取引所
コロンビア
コロンビア証券取引所
ペルー
リマ証券取引所
エクアドル
グアヤキル証券取引所
ベネスエラ
カラカス証券取引所
ウルグアイ
モンテヴィデオ証券取引所
▼ヨーロッパ
欧州圏
NYSEユーロネクスト
NASDAQ OMX 北欧
NASDAQ OMX ヨーロッパ
アルバニア
ティラナ証券取引所
ベラルーシ共和国
ベラルーシ通貨証券取引所
ボスニア・ヘルツェゴビナ
サラエボ証券取引所
ブルガリア
ブルガリア証券取引所
トルコ
イスタンブール証券取引所
スロベニア
リュブリャナ証券取引所
セルビア
ベオグラード証券取引所
ロシア
ロシア取引システム
ルーマニア
ブカレスト証券取引所
クロアチア
ザグレブ証券取引所
イギリス
ロンドン証券取引所
ルクセンブルク
ルクセンブルク証券取引所
アイルランド
アイリッシュ証券取引所
ノルウェー
オスロ証券取引所
スペイン
マドリード証券取引所
バロセロナ証券取引所
イタリア
イタリア取引所
ギリシャ
アテネ証券取引所
スイス
スイス証券取引所
オーストリア
ウィーン証券取引所
ドイツ
フランクフルト証券取引所
ポーランド
ワルシャワ証券取引所
ハンガリー
ブダペスト証券取引所
チェコ
プラハ証券取引所
▼中東・アフリカ
アラブ首長国連邦
NASDAQ ドバイ
グルジア
グルジア証券取引所
キプロス
キプロス証券取引所
バーレーン
バーレーン証券取引所
イラン
テヘラン証券取引所
イラク
イラク証券取引所
イスラエル
テルアビブ証券取引所
ヨルダン
アンマン証券取引所
クウェート
クウェート証券取引所
レバノン
ベイルート証券取引所
オマーン
マスカット証券取引所
パレスチナ
パレスチナ証券取引所
カタール
カタール取引所
サウジアラビア
サウジ証券取引所
シリア
ダマスカス証券取引所
アフガニスタン
アフガニスタン証券取引所
西アフリカ
西アフリカ証券取引所
アルジェリア
アルジェリア証券取引所
ボツワナ
ボツワナ証券取引所
カメルーン
ドゥアラ証券取引所
エジプト
エジプト証券取引所
ケニア
ナイロビ証券取引所
南アフリカ共和国
ヨハネスブルク証券取引所
スーダン
ハルツーム証券取引所
タンザニア
ダルエスサラーム証券取引所
ザンビア
ルサカ証券取引所
モロッコ
カサブランカ証券取引所
ザンビーク
マプト証券取引所

株式の投資基準とされるROAとは

株式の投資基準とされるROAとは、総資本の経常利益の割合をパーセンテージで表したものです。

ROAは、Return on Assetの略で、総資本経常利益率といいます。

ROAは次の計算式で求めることができます。

ROA=経常利益÷総資本×100

ROAでは、企業の資本投下によって発生した利益の利回りを調べることができます。これにより、企業の収益率の高さがわかります。収益率が高ければ高いほど株主還元が期待できます。一方、収益率が低ければ株主還元はあまり期待できません。また、金融機関からお金を借りて事業を展開している場合には、金融機関の金利より高いROAでなければその事業は赤字になります。

上場企業のROAの数値は5%以上が一般的で、10%以上であれば収益率の高い企業といえます。

次の表は、2012年6月現在の日経平均株価(日経225)採用銘柄のROAの5%以上の銘柄の一覧です。

銘柄コード銘柄ROA
1605/T国際帝石5.74%
1963/T日揮7.71%
2002/T日清粉G5.33%
3405/Tクラレ5.19%
3407/T旭化成5.17%
3865/T北越紀州5.06%
4021/T日産化5.90%
4063/T信越化5.82%
4151/T協和キリン15.83%
4272/T日化薬5.70%
4502/T武田15.86%
4507/T塩野義7.59%
4519/T中外薬7.02%
4704/Tトレンド11.36%
5713/T住友鉱6.38%
6301/Tコマツ8.66%
6501/T日立7.64%
6954/Tファナック14.03%
7202/Tいすゞ9.44%
7751/Tキヤノン6.90%
8031/T三井物5.18%
8035/T東エレク6.53%
8308/TりそなHD11.19%
9433/TKDDI6.49%
9766/Tコナミ6.11%
9983/Tファーストリテイ17.88%