2012年5月22日火曜日

FXのエンベロープとは

FX(外国為替証拠金取引)のエンベロープ(envelope)とは、移動平均線を応用したテクニカル指標の1つです。

エンベロープは、移動平均線を中心にして、上値と下値に平行線を描画します。そして、上値を超えると高値圏、下値を超えると安値圏になります。

計算日数をn日とした場合のエンベロープの計算式は次の通りです。

・移動平均線・・・当日を含めた過去n日間の終値の平均値
・上値・・・移動平均線の数値+指定した値幅
・下値・・・移動平均線の数値-指定した値幅

値幅は、割合、あるいは、数値で指定します。割合の場合は、1%幅、2%幅のように指定します。数値の場合は、0.1円幅、0.2円幅のように指定します。


上のチャートの青色の線がエンベロープの上値、赤色の線がエンベロープの下値、黄色の線が移動平均線になります。

上のチャートでは、エンベロープの上値の線を超えた部分(赤色の丸で囲んだ部分)が3か所あります。この部分が高値圏で、売りのポイントになります。また、エンベロープの下値の線を超えた部分(赤色の丸で囲んだ部分)が1か所あります。この部分が安値圏で、買いのポイントになります。

FXの口座明細の証拠金や維持率とは

FX(外国為替証拠金取引)の口座明細には、証拠金や維持率のような専門用語が使われています。

ここでは、それらの用語の意味や計算方法について解説します。
建玉可能金額(たてぎょくかのうきんがく)
新規に建玉(ポジション)する際に必要証拠金額として使用できる金額のことです。
注文証拠金額、発注証拠金額
指値、逆指値、IFD、OCO、IFOなどの予約注文が約定した時の必要証拠金額のことです。約定されると、注文証拠金額、または、発注証拠金額は0円になり、必要証拠金額に加算されます。
必要証拠金額
ポジションする際に納めた必要証拠金の合計額です。
預託証拠金額(よたくしょうこきんがく)
ポジションのない時の預け入れ金額です。
評価損益
手持ちポジションの利益額、あるいは、損失額です。
出金可能金額
FXの口座から引き出すことのできる金額です。
評価額、純資産額
手持ちのポジションをすべて決済した時の預け入れ金額です。
維持率
評価額、あるいは、純資産額に対する必要証拠金額の割合です。

▼各用語の金額の計算式
は次の表の通りです。

用語 計算式
a 建玉可能金額 g-(b+c)+e
b 注文証拠金額

発注証拠金額
-
c 必要証拠金額 -
d 預託証拠金額 g-e
e 評価損益 g-d
f 出金可能金額 g-(b+c)+e
g 評価額
純資産額
d+e
h 維持率 g÷c×100

FXのロスカットの計算方法は

FX(外国為替証拠金取引)のロスカットとは、保有しているポジションに一定の損失が出た場合にFX業者がポジションを強制的に決済することです。ロスカットにより損失が発生しますが、それ以上の損失を防ぐことができます。

FX業者ではロスカットの基準を設けていて、その基準を下回った時にロスカットを行います。ロスカットの基準は、証拠金維持率が40%を割り込んだ時、50%を割り込んだ時などFX業者により設定はさまざまです。

ここでは、どのような状況でロスカットが発生するかをシミュレーションしてみます。

▼FX業者の取引要綱
・レバレッジ25倍
・ロスカットは証拠金維持率が40%を割り込んだ時

▼入金時の口座明細

まず、FX業者へ10万円を入金します。この時の口座明細は次の通りです。ちなみにこの時点では証拠金維持率は計算されません。
必要証拠金額 0円
預託証拠金額 100,000円
評価損益 0円
評価額 100,000円
証拠金維持率 -%

▼USD/JPYを80円で1万通貨買いポジションした時の口座明細

ポジションを保有した時点で、証拠金維持率が発生します。

必要証拠金の計算は次の通りです。
80円×1万通貨÷25倍=32,000円

また、証拠金維持率の計算は次の通りです。
100.000円÷32,000円×100=312.5%

必要証拠金額 32,000円
預託証拠金額 100,000円
評価損益 0円
評価額 100,000円
証拠金維持率 312.5%

▼USD/JPYが80円から79円へ値下がりした時の口座明細

評価損が発生して評価額が減り、証拠金維持率が低下します。

評価損の計算は次の通りです。
(79円-80円)×1万通貨=-10,000円

評価額の計算は次の通りです。
100,000円-10,000円=90,000円

証拠金維持率の計算は次の通りです。
90,000円÷32,000円×100=281.25%

必要証拠金額 32,000円
預託証拠金額 100,000円
評価損益 -10,000円
評価額 90,000円
証拠金維持率 281.25%

▼USD/JPYがさらに値下がりして71.28円になった時の口座明細

ここまで下がると証拠金維持率が40%へ大きく減少します。
よってロスカットは、71.28円を下回った時点で行われることになります。

評価損の計算は次の通りです。
(71.28円-80円)×1万通貨=-87,200円

評価額の計算は次の通りです。
100,000円-87,200円=12,800円

証拠金維持率の計算は次の通りです。
12,800円÷32,000円×100=40%

必要証拠金額 32,000円
預託証拠金額 100,000円
評価損益 -87,200円
評価額 12,800円
証拠金維持率 40%

▼ロスカットを避けて71.28円で決済した時の口座明細

評価額の計算は次の通りです。
100,000円-87,200円=12,800円

必要証拠金額 0円
預託証拠金額 12,800円
評価損益 0円
評価額 12,800円
証拠金維持率 -%

▼71.27円でロスカットされた時の口座明細

評価額の計算は次の通りです。
100,000円-(71.27円-80円)×1万通貨=12,700円

必要証拠金額 0円
預託証拠金額 12,700円
評価損益 0円
評価額 12,700円
証拠金維持率 -%

FXのモメンタムとは

FX(外国為替証拠金取引)のモメンタム(momentum)とは、為替レートの勢いやトレンドの転換点などを調べる時に用いられるテクニカル指標の1つです。

モメンタムの計算方法は次の通りです。計算期間をn日とすると、

モメンタム=当日の価格-n日前の価格

になります。

モメンタムは、0を中心にしてモメンタムの値が0以上の時が買い圧力の強い時で、モメンタムの値が0以下の時が売り圧力の強い時になります。

なお、MT4(Meta Trader 4)でのモメンタムの計算方法は次の通りです。

モメンタム=当日の価格÷n日前の価格×100

このため、MT4でのモメンタムは、100を中心にしてモメンタムの値が100以上の時が買い圧力の強い時で、モメンタムの値が100以下の時が売り圧力の強い時になります。


上の図は、MT4でモメンタムを描画したものです。

モメンタムには、もう1つの見方があります。それは、チャートとモメンタムとの推移が逆方向に推移した時です。上の図の赤い四角で囲んだ部分を見てください。ローソク足が右肩上がりに推移していますが、モメンタムが右肩下がりに推移しています。

このような状態をベアリッシュ・ダイバージェンス(Bearish divergence)といいます。日本語では「弱気の乖離」といいます。ベアリッシュ・ダイバージェンスが出現した場合には、相場は下降していくといわれています。

また、ローソク足が右肩下がりに推移して、モメンタムが右肩上がりに推移することをブリッシュ・ダイバージェンス(Bullish divergence)、「強気の乖離」といいます。ブリッシュ・ダイバージェンス出現した場合には、相場は上昇していくといわれています。

FXのボラティリティとは

FX(外国為替証拠金取引)のボラティリティ(volatility)とは、為替レートの過熱度を調べるために用いられるテクニカル指標の1つです。

ボラティリティでは、高値圏や安値圏、売りポイントや買いポイントのように売買につながる数値は算出しません。

ボラティリティは為替レートが上下に大きく値動きすると上昇し、小動きになると下降して推移します。そのため、ボラティリティの数値が大きい時の売買はハイリスクハイリターンになる傾向にあります。


上の図は、ボラティリティを描画したものです。黄色の丸で囲んだ部分が為替レートが過熱している状態になります。

ローソク足の青色の丸で囲んだ部分は、チャートの高値になりますが、ボラティリティでは過熱していないことを表しています。

ローソク足の緑色の四角で囲んだ部分は、為替レートが横ばいに推移しています。ボラティリティでも過熱していないことが確認できます。

FXのMACDとは

FX(外国為替証拠金取引)のMACDとは、指数平滑移動平均線を用いたテクニカル指標のことです。MACDの正式名はMoving Average Convergence Divergenceといい、日本語では移動平均収束拡散法といいます。

MACDで用いる指数平滑移動平均線とは、n日間のデータを計算する際に、新しいデータほどウェイトをかける移動平均線のことです。そのため、普通の移動平均線と比べて最新の為替レートの動きを素早く数値として算出することができるという特徴があります。


上の図は、ローソク足の下側にMACDを描画したものです。

青色の折れ線がMACD、緑色の折れ線がシグナルです。また、0.000から上下に伸びている線はオシレーターで、値が上昇している場合には青色、値が下降している場合には緑色で描画しています。

MACDがシグナルを下から上へ突き抜けた地点が買いのポイントになります。上の図では赤色の丸で囲んだ部分になります。また、MACDがシグナルを上から下へ突き抜けた地点が売りのポイントになります。上の図では青色の丸で囲んだ部分になります。

また、オシレーターは、プラスの場合(上に伸びている場合)には上昇トレンド、マイナスの場合(下に伸びている場合)には下降トレンドになります。